薬物治療以外の治療について

精神科作業療法(OT)

作業療法ってなに?

リハビリテーションという言葉を聞いて“歩く練習をする”“筋トレをする”といったイメージをされる方は多いかと思われます。
心の病気を抱えている人たちも同じように、病気の回復のためにリハビリテーションを行っていきます。

作業療法は、リハビリテーションの一つです。人は、朝起きて夜になったら寝る、疲れたら休む、テレビを見て笑う、嫌なことがあったら発散する、遅刻しそうになったら急ぐ、外に出かけるときにはおめかしをする・・・というように何気なく生活を送っています。

しかし、病気のためにそのような何気ない生活を送ることが難しくなります。
作業療法では、さまざまな活動や人との関わりを通して、患者様が“自分らしく生きる”ためのお手伝いを行います。

作業療法の効果ってなに?

たとえば・・・

具体的にどんなことをするの?

病気の回復には、病気の時期や程度に合わせたリハビリテーションを行なうことが大切です。
当院では、患者様の回復の段階にあわせたプログラムを提供しています。いくつかご紹介します。

病気の回復には、病気の時期や程度に合わせたリハビリテーションを行なうことが大切です。

当院では、患者様の回復の段階にあわせたプログラムを提供しています。いくつかご紹介します。

オープン

ストレッチ

ガーデンクラブ

病棟OT

外来

このようなことで、困っていませんか?

このように、何かを始める一歩として外来作業療法があります。

外来作業療法では、作業や人との関わりを通して、生活のリズムをととのえる、楽しさを味わう、自分と向き合う、自分らしく生活するなど、一人一人に合わせた目標に向かって取り組んでいきます。

ペースもその方に合わせて行いますので、あせる必要はありません。

当院では、2つのコースがあります

手工芸コース

パズル、プラモデル、絵画など創作活動を行なうコースです。担当スタッフと相談しながら、どのようにすすめていくかを決めていきます。

ストレッチコース

ゆったりとした音楽を聴きながら、ストレッチを行なうコースです。
また、簡単な筋トレも行なっています。体力をつけたいという方におすすめです。

費用について

費用は、各種保険が適用となります。詳しくは担当スタッフにお尋ねください。

利用方法について

外来作業療法をご利用いただくには、主治医の処方が必要です。また、どちらのコースも見学することが出来ます。希望される方は、一度主治医にご相談ください。

精神科専門療法(SST)

私たちは人の中で生きており、さまざまな場面で他者とコミュニケーションをとりながら生活しています。ストレスの多くが人との関係によって生じるとも言われていますが、自分たちを助け支えてくれるのもまた人なのです。

生きていくために必要な「他者とのコミュニケーション」をどのように行っていくかを学ぶことができるのがSSTです。
SSTは「Social Skills Training(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)」の略で、日本語では「社会生活技能訓練」などと訳されています。
精神に障害を持った方が社会で生きていくために、対人関係を良好に維持する技能(スキル)を身につけ、自信を回復し、ストレスに対処したり問題を解決できるスキルを習得することを目的として行われてきました。

現在では医療の場だけでなく、教育、司法、福祉などさまざまな分野で行われるようになっています。
当院では、10人くらいのグループで、週1回1時間の集まり(セッション)をもっています。メンバーさんの「こんなことがうまくなりたい」「こんな時どうしたらいいんだろう」という声に耳を傾け、スタッフを含めた参加者全員で助け合ってスキルの獲得を目指しています。

SSTで特徴的なのは、考えるだけでなく身体をつかって「練習」する、すなわちロールプレイを取り入れていることです。
練習したい場面をとりあげ、その場面を再現して実際のやりとりを練習します。そして練習したことを普段の生活の中でやってみることにチャレンジ(宿題)します。
たとえばある日の練習から・・・。

とても優しくて、いろんなお願いをされるAさん。
お願いされること自体はAさんにとっても「頼りにされている」と嬉しいそうですが、体調が良くない時は負担になっていました。
「体調が良くない時に感じ良く断ることができるようになりたい」と言われ練習しました。

メンバーの1人が相手役になって「掃除を手伝って欲しい」と頼む役になります。
他のメンバーからは「感じの良い断り方」のアイデアをもらいました。
「体調が悪いのでと言う」「ごめんねと言う」「体調の良い時にはまたお手伝いするからと言う」などの案がありました。
Aさんはそのアイデアを参考にロールプレイで「今日は体調が悪いのでできないの。ごめんなさい」と手を合わせることを練習しました。

ロールプレイの後は他のメンバーから良かったところを言ってもらいます。
「ごめんなさいがすごくすまなさそうで良かった」「手を合わせているので気持ちがよく伝わった」「体調が悪いという理由があったので納得できる」と言ってもらったAさんは、練習することで自信をもったようです。
そして、ある日「感じの良い断り方」をする場面(体調が良くないときに頼まれた)がやってきました。
SSTで練習した通りにできたそうで、次のSSTの時間では嬉しそうに「できました。相手の人は『ゆっくり休んでね』と言ってくれました」と報告してくださいました。

誰にでも時には「お断り」したいことがあります。
そのような時に「お断り」ができないとストレスを抱えやすくなります。
また、「断ったら相手に嫌われるかも」と思ってお断りできない方もいます。
Aさんも「感じの良い断り方」をすることで、「断ったら、その人との関係が悪くなるに違いない」という考えがちょっと変わったようです。

SSTでは「よかったところをほめる」ことを大切にしています。毎回、笑顔や笑いがあり、楽しく練習しています。

SSTについてもっと知りたいという方は「SST普及協会」のホームページをごらんください。

SST普及協会 http://www.jasst.net